「ウェブ時代 5つの定理」:あなたと「5つの定理」の関係


まず、本の内容以前に、「ビジョナリーたちの名言リンク集」が既にウェブで公開されている。
http://www.bunshun.co.jp/umeda_web/umeda_link.htm

普通に考えれば、でたばかりの本の内容の一部を惜しみなくウェブ上に公開するということを、出版社がやるというのは狂っているとしか思えない。しかも、このページでは、本からでは辿るのが難しい「原文」へのリンクまである。
つまり、リンク先まで含めれば、本よりも情報量が多いことになる。このようなチャレンジをした著者と出版社の関係者の皆様には本当にお礼を言いたいくらいだ。
実際問題、このページは、未購入者へのマーケティングにも役立つし、読後の「復習用」にも使えるからユーザーにはこの上なく価値があるページであることだけは事実だ。


さてさて、前置きが長くなってしまったが、本題に。

本書には2つの使い方があると感じた。一つは「良き教科書」あるいは「公式集」としての使い方だ。本書には厳選された名言だけが書かれており、それ自体に凄まじい価値がある。もし大学受験に「ウェブ」という科目があったら、本書を丸暗記しておけば恐らく100点を取れるだろうというくらいに。


もう一つは、本書を「リトマス試験紙」として使い、自分の特性を理解するという使い方だ。

僕はこの本を読むに際して、単に「海の向こう」の異国のお話としてではなく、自分の知り合いの顔が何人も浮かばせながら読んだ。どういうことかと言うと、「Aさんには昔これと真逆のことを言われたなぁ。」とか「Bさんにはこれと全く同じこと言われそう。」と言った具合にだ。そして、その後のAさん、Bさんとの関係をよく考えてみると、本書に書かれたことと逆のこと言うAさんとは疎遠になり、本書に似たことを言うBさんとは今でもおつきあいが続いている。

本書は極めて前向きで創造的な仕事をする(したい)人向けだけに書かれているのは間違いないが、自分が本当に「守りの仕事」に向いているのか、あるいは「攻めの仕事」に向いているのかを判定するのに使えるのではないかと思った。

  • 自分の身の回りの人と本書の登場人物を重ね合わせ、
  • その身の回りの人と自分の関係を考察することで、
  • 自分がどの程度「前向きで創造的な仕事をする(したい)人」なのかということを逆説的に理解できるのではないか

と思った。

「本書の登場人物と知人の行動の類似性」と「自分とその知人との付き合い」を考えれば、自分がどういったことに向いているのかが分かるという使い方を是非してみて欲しい。
何故、わざわざ知人を登場させているかというと、人間誰しも自分のことは良く分からないのと、本書のような前向きすぎる本を読んでしまうと「僕もこうなりたいなぁ」と夢見て終わりというパターンも出てくる気がするからである。


僕の場合、これまでを振り返れば振り返るほど、「明るく前向きな大人」に惹かれ、自然とそういった人たちとのお付き合いが増えてきて今に至っている。思えば、大学に入って進路が決まるとき、大学院で研究テーマを決めるとき、会社に入るときなどなど、僕に影響を与えてくれた方たちというのは、皆本書に出てくるような「明るく前向きな大人」ばかりだった。(そんなわけで、人に会った瞬間に「明るく前向きな大人」かどうかを瞬時に判定する能力だけは身に付いた。)

そうした形で今に至っていること自体に感謝の気持ちでいっぱいで、「明るく前向きな大人」からの「投資」(だと僕は勝手に思っている)を受けた以上は、いつか、今している以上の大きな貢献を、社会に対してしたいと思うようになった。


最後に、本書の金言から一つだけ一番好きなものを選べと言われた、僕は↓を選びます。
社会に対して何かを提供していく上で、本質的に代替が効かないのは、賢い奴でも器用な奴でもなくて、引力のある奴だ、という言葉。
表現は難しいが、「だだをこねる子供のようにエネルギーレベルが高く、こだわりが強い」。そんな人なんだと思います。

■p.157
テクノロジーカンパニーでも、
強い「プロダクト志向のカルチャー」が必要だ。
多くの企業が素晴らしいエンジニアと頭のいい連中を山ほどかかえている。
でもつまるところ、すべてをまとめる引力が必要だ。── スティーブ・ジョブズ
You need a very product-oriented culture, even in a technology company. Lots of companies have tons of great engineers and smart people. But ultimately, there needs to be some gravitational force that pulls it all together.──Steve Jobs

ウェブ時代 5つの定理―この言葉が未来を切り開く!

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