chromeにみるGoogleの二枚舌とその先に見ている世界

まずはchromeに関して。
http://www.google.com/chrome/index.html?hl=ja&brand=CHMI&utm_source=ja-et&utm_medium=et&utm_campaign=ja

ブラウザはGoogleが「勝ちやすい」ドメイン

いろんな人が言っているように、とても速い。webkitだからというよりは、特にjavascript部分の描画が凄まじくはやく感じるので、JavaScriptエンジンV8が相当すごいのだろう。
また、複数のタブを開く場合の処理の軽さなどがFFと比べても目立った。恐らく、バックエンドで相当メモリの最適割当等をしているのだと思う。
あとは、検索ボックスとURLバーが一つに統合されて、ブラウザの描画領域の縦幅が最大限大きく取られているなどのUI的な面も見逃せない。


UI的な部分はさておき、これだけユーザーの目に分かる形で高速化した、というのが興味深い。
http://japan.cnet.com/marketing/story/0,3800080523,20379766,00.htm
は多少、都合の良いデータかもしれないけど、このように、「ブラウザという一つのシンプルなプロダクトをより高速にする」というのは実はグーグルにいるエンジニアにとっては最も得意とする「課題」なのだろう。

MSやMozillaがあれだけ頑張ってもこんなに違っちゃうんだから、はっきり言って、高速化という課題を解くという意味ではグーグルには勝てないと痛感した次第。
そういう意味で、ブラウザというのはGoogleが「勝ちやすい」ドメインであり、今回のリリースは正しいと思った。

Mozillaへの寄付と二枚舌作戦

Mozilla、契約延長でGoogleからさらに3年間大金を得る
http://jp.techcrunch.com/archives/20080828mozilla-extends-lucrative-deal-with-google-for-3-years/

GoogleFirefoxデフォールト検索エンジンに設定する代りに、GoogleMozillaに対して巨額の支払いをしている。2006年には総額$57M(5700万ドル)が支払われたが、これはMozillの総収入の85%に当る。この契約は当初2006年で満了する予定だったが、その後2008年まで延長され、今回さらに2011年まで再延長された。

Mozillaは収益の85%をGoogleに依存している。経済的には子会社同然。
つまり、Firefoxchromeというブラウザの検索ボックスは事実上、グーグルのコントロール下にあるということです。


ブラウザの検索ボックスを押さえるために、グーグルがMozillaに年間約60億円も払い、かつ自社でもリリースするという、二枚舌を使ってまで攻めてきているのは本気の証拠。
近い将来、DellやHPに営業に行って、「PC出荷時にchromeをプリインストールしてくれたら、1台あたり●ドル払います」ということを言い出すのだと思います。

chromeのその先

全くと言っていいほど言及されていないことが一つある。(このあたりずるいなぁとも思う。)
chromeGoogle gearsの組み合わせ。


どういうことかと言うと、chromeがいくらすごいブラウザでも、ブラウザ内だけで完結する機能には限界があります。
google docs, spread sheetがMS Officeと同等にならないのもそこに原因があると思います。
オフラインアクセスなどブラウザの周辺の足りないものを補うのが、Gears。Gearsがchromeと共に普及すると、以下のようなことが起こります。

WindowsといったOSレイヤーが何であるかが重要でなくなる。全てはブラウザとそれを支えるgearsで完結できるようになる。


これこそがgoogleの対MS戦略だと気付いて、ちょっとゾッとしました。
というわけで、osx版のchrome待ってます!