Googleの「サーバー1台ごとにバッテリー持たせた方がUPSより効率的」には本当に驚いた

グーグル、自社設計のサーバを初公開--データセンターに見る効率化へのこだわり
http://japan.cnet.com/special/story/0,2000056049,20390984,00.htm

Googleサーバの高さは、3.5インチ(約8.8cm)で、データセンター用語で言えば2Uである。これには、2基のプロセッサと、2基のハードドライブ、そしてGIGABYTEマザーボードに取り付けた8つのメモリスロットがある。Jai氏によると、Googleは、Advanced Micro DevicesAMD)製とIntel製の両方のx86プロセッサを使用しており、そのバッテリ設計をネットワーク装置にも採用しているという。

この辺の話はほぼ既知ですね。
一つだけ意外なのは、まだSSDが(標準的に)使われていないということ。(もちろん一部では使い始めてるとは思いますが。)

耐故障性能だけ見ると、SSDというのは悪くない選択肢だと常々思っています。


そして、一番驚いたのは、

Googleサーバで非常に驚くのは、サーバ1台1台が、それぞれ12Vのバッテリを備えていて、メイン電源に問題がある場合には電力を供給することだ。Googleはまた、2005年以来、同社のデータセンターが標準規格の運送用コンテナで構成されていることを初めて明らかにした。1つのコンテナには1160台のサーバが搭載され、その電力消費は250KWに達する。

通常のデータセンターは、無停電電源装置UPS)と呼ばれる、大規模な集中型マシンに依存している。これは基本的には、メインの電源に障害が発生した際に、発電機が始動するまでに動く、巨大なバッテリだ。Jai氏は、サーバに電源を組み込んだ方が安価であり、コストがサーバの数に直接比例することになるとしている。

「これは巨大な集中型UPSよりもはるかに安価だ。そのため、容量の無駄がない」(Jai氏)

この部分。確かにそうかもしれない。1台用のバッテリーの値段は量産効果でとても下がるが、UPSなんて大して売れないから高いままだろう。

逆転の発想と言えばそれまでだが、正直驚いた。これを隠し通していたのもすごいが、この発想自体がすごい。
(基幹電源部分は別にして)DCを新規に設置する際に、いきなり高価な大きいUPSを買わなくても良い。1台ずつに小さい(バッテリー)UPSがついているからだ。
そして、これは何より経営的な機動力を上げることにもなる。というのは、DCを拡大したい、縮小したい、あるいは一部のサーバーを新品に置き換えたいという場合にも、「大きなUPS1つ」よりも「小さなUPS×n」の方が遙かに簡単にコスト計算ができ、合理的な経営判断ができよう。


よく考えれば、データセンターの基本的な設計なんて、とても昔の技術要素を元に作られているわけで、それを根本から「これって何でこうなっているんだろう?」と考えたらこうなった、というだけなのかもしれない。

Googleという会社のすごさは、サーチエンジンでヒットサービスを作ったということにとどまらず、1990年以降くらいの情報科学、工学の最新の知見を使って、全てのことを効率化、最適化してしまっているところだと思う。

Gmailはメールのあり方を変えたし、Google Mapsは地図サービスのみならずAjaxという新しいウェブサービスの作り方まで提案した。Chromeも1タブ=1プロセスという新しい概念でブラウザを「正しく」作り直そうとしているし、今回のDCの電源の件も同じ文脈で考えるととてもGoogleらしいのかもしれない。