デジタル家電による産業復興

池田先生が面白い記事を書いていらっしゃったので:
「デジタル家電バブル」の落とし穴

デジタル家電のもう1つの特徴は、国境や業界の壁を超えて競争が始まっていることだ。すでに大手パソコン・メーカー、デル、HP、ゲートウェイなどが液晶テレビの販売を開始している。デルの液晶テレビの最低価格は699ドル(約7万3000円)、米国内のシェアは3割に達している。その生産を請け負っているのは中国や台湾などの企業である。液晶が世界的に流通したため、開発投資を行わずに部品を安く調達して組み立てる、かつてのIBM-PC互換機と同じような競争が起こっているのだ。

ふむふむ。確かに。

これに対して、一部で唱えられているように「日本発の標準」で市場を囲い込もうとするのは、パソコンでの失敗を繰り返すもとになる。重要なのは要素技術ではなく、それを組み合わせるアーキテクチャ(設計思想)の競争である。インターネットや携帯電話の教訓は、NTTドコモの「iモード」のようにプラットフォームを開放し、多くのアプリケーションやコンテンツが出てくるしくみを作った者が勝つということである。

激しく同意。
商品=技術、アーキテクチャ、インプリの共通項、という有名な法則を見事なまでに実践したのがMS社ですね。

デジタル家電の成功の鍵も、コンテンツである。いくらデジタル家電が単品として売れても、それにふさわしい新しいコンテンツが出てこないと、産業としての広がりは生まれない。幸い日本には、ゲーム・アニメなど水準の高いコンテンツ産業と、世界一になったブロードバンドのインフラがある。これをデジタル家電と結びつけ、たとえばDVDレコーダーに世界中の映像や音楽をブロードバンド配信してハードディスクに蓄積するシステムを作れば、リアルタイムに「放送」しなくてもよいので、多くのクリエイターが作品をブロードバンドで配信でき、消費者の選択の幅も大きく広がる。

僕は可能性があるとしたら、ソニーだと思います。
最近、ソニーの不調が叫ばれてますが、ソニーしかいない。
というのは、(あまり論理的でないのですが、)ソニー以外の松下とか東芝とかは、歴史的にそうした覇権争いに成功したことがないですよね。
ベンチャーでもない限り、いきなり会社の体質を変えて、覇権争いに突き進んでいくというのが何となく想像できないです。

柴田尚