MSへの挑戦

米アップル、iTunes for Windowsをついに発表

音楽業界はここ数年、売り上げが伸び悩んでいる。その主たる原因が、音楽データを違法にコピーできたということとのことである。
確かに音楽業界もそれまでレンタルCDなどを認め、僕らにCDからテープやMDにコピーできるということを教えてしまってきたのは問題だが、現状では、手元にCDがなくとも、Onlineでデータのみをやりとりできるようになってきており、問題はさらに複雑化してきている。

様々はコピー防止技術がたくさん生まれているが、MKTGなどの側面から見ても、どれもイニシアチブを取るに至っていない。
最大の問題は、「配信」→「再生」というプロセスが分断されてしまっている。まるで日本のFlet'sを見ているようだ。わざわざCDを買いに行かなくても、自宅のPCの前でカード決済などを利用して音楽を購入できたら、違法コピーも減るだろう。配信会社から見ても、一時的にはCDの売り上げが減るだろうが、長期的なMKTG(=啓蒙)をしっかり行えば、長期的に生き延びる道であると言える。

僕はMicrosoftがそうした配信+再生の仕組みを始めに作り、圧倒的なシェアを誇るOSと連携させ、この分野もシェアを握ると思っていた。ところが、Appleipodなるプレーヤーから攻めたのである。iPodは、今年7、8月に販売されたMP3プレーヤー全てのうち、31%を占めている。このシェアを武器に「配信」マーケットを攻略しようとしている。

Microsoftや他のハードウェアメーカーは、Appleのこうした戦略が、コンシューマーの選択肢を制限していると主張している。しかし、Apple以外のサービスが利用できる機器を選べば、Microsoft独自のオーディオソフトとデジタル権利管理(DRM)ソフトを、事実上の業界標準とすることにつながりかねない。

僕らがWindowsを当然のものとして使っているように、Appleのシステムが便利であれば、僕はそれを使いたい。そして、OSという文字通り基幹ソフトを押さえられているにも関わらず、それに「知恵」で対抗していくAppleに、一人のビジネスマンとして敬意を表したい。

早く日本でもこうした音楽配信システムが実現化する日が待ち遠しい。

柴田尚