「通信と放送の融合」ではなくて......

よく、これからの時代は、通信と放送は「融合」していくと言うけれど、僕は「融合」ではなく「通信と放送の逆転」だと思う。つまり、これまでの通信インフラ上では放送が行われ、これまでの放送インフラ上で通信が行われるということだと理解している。

よく考えたら、全く技術もビジネスモデルも違う二つが融合するというのは考えにくくて、仮に「融合」するとしても、それは一過性のものであって、最終的に目指すところは、「逆転」なんだろうと思う次第である。技術革新によって、通信と放送のそれぞれの相対的な有利性というものがガラっと変わりつつあり、それに伴ってコスト構造や相対的なコスト優位性が劇的に変化しつつある。そうした中で、果たして、それらが融合していくのかと言うと、「それはビジョンとしてはあまりにもお粗末でしょ。」と思う。

繰り返すが、一時的に融合している状態は存在するとは思うけれど、最終的には、通信と放送という二つの手段の役割が全く入れ替わってしまうのではないかと思う次第である。まさにネグロポンテの予言通りで、彼には本当にいつも驚かされるばかりである。