「グーグル」と「ウェブ進化論」に見られる脳の使い方の違い
ようやく「グーグル」を読み終えた。素直に良い本だと思った。絶賛したい気分である。ただし「ウェブ進化論」が無ければ、という条件付きである。
「グーグル」はグーグルという会社の史実やその社会的影響を過不足無くまとめたものであると言えると思う。グーグルという技術革新(technology innovation)がもたらす、社会革新(social innovation)について、具体例を交えて、綺麗に整理されている。
他方、「ウェブ進化論」は、梅田氏の認識の構造を元に、描かれている。「グーグル」が生野菜だとすれば、「ウェブ進化論」は野菜炒めである。生野菜を作る農家も一流で、野菜炒めを作るシェフもどちらも一流であって、その能力やそのアウトプットを比べることに意味はない。ただ、二冊を読み比べて一番感じたのは、この二冊の本はそれぞれ、美味しい生野菜と美味しい野菜炒めを作ろうという全く異なった意図の上に作られたということだった。
これらを隔てるものは、「脳の使い方」の違いだと思う。上述のように、どちらの脳が良いと言いたい訳ではない。著者二人のバックグランドを見れば、佐々木氏はジャーナリスト、梅田氏はコンサルタントであるから、この違いは当然かもしれない。ただただ、脳の使い方にもいろいろあって、自分がどのような脳の力を鍛えていきたいのか、ということを明確に意識して生きることは重要だと痛感した次第である。
グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)
- 作者: 佐々木俊尚
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/04/20
- メディア: 新書
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