「はてなグループ」の凄さを体感する

最近、はてなグループを使い始めた。この上なく、心地よい、というのが使ってみてすぐの感想だった。

今まで、「情報共有ってもっと便利にできないのかなぁ」とずっと考えていたが、その多くの部分を解消してくれているようにさえ感じる。是非、皆さんにもお勧めしたい。

では、何がどう便利なのかを、少しだけ書きたいと思う。ただし、「百聞は一見に如かず」なので、実際に使ってみてください。

1. 「メール恐怖」からの脱却:ポジティブな気持ちで仕事ができる

僕自身の場合で考えてみても、大体年中を通して、プロジェクトは常時5つは走っており、それぞれごとにMLが存在して、毎日メールがたくさん飛んでくる。そのメールとプライベートなものまで合わせれば、毎日100通以上のメールを処理していることになる。(スパムを入れるともっとです。)

よく考えてみれば、このメールを処理するという作業は、「受け身」であることが否めない。もちろん、返事を書くという作業もあるから必ずしも全て「受け身」という訳ではないけれど、やはり「受信」と言ってしまう時点で受け身なのだろう。例えば、土日に小旅行に出かけてしまって、月曜の朝、メーラーを起動したら、数百通のメールがどっさりと来ていて、朝からがっくりするという経験は誰しもがお持ちだと思う。

ところが、「はてなグループ」では、(最初のinvitationなどを除けば)メールは一切飛んでこない。グループのサイトにアクセスすると、メンバーの日記、キーワードが更新順にソートされて表示されるだけだ。もちろん、使い方にもよるが、この「日記」が「メールの本文」に該当し、「キーワード」が「添付ファイル」などの作業アウトプットになる。そう、完全にMLを代替してしまっているのだ。(はてなの方も同じような使い方をされているようなので、きっとこの使い方は正しいのだろう。。。)

さらに気持ち良いのは、(これはメールが来ないこととも関係するのだが、)「ひっそりと作業が進んでいる」ということだ。アクセスすると、他のメンバーが作業を進めてくれていたことを発見できる。これはこの上ない喜びだ。

ある日、僕は自分の作業が途中の状態で、急用が入ってしまい、数時間オフラインにならなければならなかった。「帰宅したら続きをやろう」と思って、帰宅したら、何と僕が途中状態にしていた部分が既に完成してしまっていた。このスピードは一度体験したら病みつきになりそうだ。

インフォテリアさんが社内ブログに、「はてなグループ」を採用した(詳しくは、江島さんのblog参照)という理由も何となく分かった気がする。


2. easy to edit

はてなグループ」の素晴らしい点の2つ目は、操作性の良さである。Wikiほど面倒ではないし、blogよりもフレキシブル、という丁度良さを醸し出している。

僕も以前、Wikiを使おうとして挫折したことがある。文法やルールが多すぎて、慣れる前に諦めてしまった。その後、ルール等は多少はマスターしたものの、あれだけ複雑だとITリテラシーの高くない人と一緒に作業はできないなと強く思った。他方、blogに関しては、不特定多数に対するメディアとしての機能は、捨てがたいがクローズな共同作業には向いているとは言えない。

はてなの文法やルールは、必要にして十分というのも僕にとっては大きかった。


3. 情報を全て「あちら側」で管理するという発想

さて、3つ目の理由であるが、これが一番インパクトが大きいかもしれない。

はてなグループ」を使っている限りにおいて、自分のPC内(「こちら側」)には一切データは残らない。全てがはてなのサーバー「あちら側」に記録され、共有される。これはよく考えたらすごいことだ。

というのは、これまでのグループウェアと呼ばれるものは皆、「こちら側」の情報の一部を共有するために「あちら側」に置きましょう、という発想だったが、はてなグループでは、全てが「あちら側」なのだ。

利便性という観点からしても、これは評価できて、ファイルのバージョン管理といったようなことは一切必要なくなるし、はてなは何と編集記録も残してくれているから安心だ。

もう少しビジネス的な視点から見れば、PCを単なるインターネット端末として扱っていることが面白い。マイクロソフトからの脱却とでも言うべきか。このあたりの発想はグーグルと似ているのではないか。僕の場合、MacWindowsも両方使っているが、どちらからアクセスしてもはてな上で仕事ができる。

いずれにしても、グーグルの例などで見られる「あちら側」の「チープ革命」は、PCで起きた「ムーアの法則」よりも早く進行しているような気がしていて、そうすると全ての情報を「あちら側」で管理するというのはすごく理にかなっているような気がしてならないのだ。


4. 「こちら側」との連携に課題が

次に、いくつか課題と思われるところを書いておこう。

はてなグループ」は、僕たちにはとても便利だ。ただ、ITリテラシーがそれほど高くない人や、僕たちよりもずっと上の世代の人たちには受け入れられないかもしれない。

とはいえ、僕たちはそういった「旧世代の人」とも連携して仕事をしなければならないことは多い。そう考えれば、「こちら側」のアプリケーションに対応することは必須のような気がする。例えば、「あちら側」で編集したデータを、ボタン一つでMS Wordへエクスポートする機能などはあると便利だ。

現在、僕の場合、PC内のHD(のうち使っている領域)は合計100GB程度だが、サーバーは1GBをホスティングで借りている。そう考えれば、現状ではまだ「こちら側」が手動であるとも言えるし、この問題にどう対応するのか、ということが問われる日が来るような気がする。


5. 未定展望とはてなへの提案

さて、(またこういう勝手なことを書くと怒られるかもしれないが、)「はてなグループ」を使ってみて、いろいろ考えてみた。

現状の「はてなグループ」はいわば、「ウェブサービス版のMS Word」だ。むしろ、ウェブの利点でもあるハイパーリンクをふんだんに取り入れているだけあって、Wordの機能よりも便利な部分が多いようにさえ感じる。

ところが、僕たちの日常は、Wordだけでは完結しない。そう、Excel, PowerPointという3点セットは、僕たちの日常には不可欠だ。(いや、使いたいかどうかは別にしてですよ。。。)「僕たちの知識の大半は『文章』で書かれている」というのは僕の恩師の名言だが、それと同じくらい「僕たちはExcel, PowerPointからも逃げられない」とも言えるような気がするのだ。

と、考えると次にはてなさんに期待したいのは、「ウェブサービス版のExcel, PowerPoint」である。これがあれば、僕たちはいちいち重たいファイルを添付せずに、そうしたメールに侵されずに、しかも(はてなにお金を払いさえすれば)自分のHDのクラッシュを心配せずに気持ちよく仕事ができるではないか!

ウェブサービス版のExcel, PowerPoint」と言ってみたが、ajax, Flashというテクノロジーがあれば実装できそうな気もするので、それほど非現実的でない気もする(と、勝手に言ってみる)。

マイクロソフトから脱却する日を夢見て。」