改めて、MicrosoftはGoogleとの全面戦争に突入だろう

ビルゲイツが事実上の引退宣言をした。2年かけて、自分の仕事を減らしていくそうだが、改めてゲイツという人はすごい人だと感じた。

理由1:自分の後任にオッジーを選んだ点

オッジーはGrooveという会社の創業者であり、この会社は2005年5月にMSに買収された。そのときに、オッジーはMSのCTOになった。

そもそもGrooveという会社は

Groove Virtual Officeという同社のソフトウェアは、異なる組織に所属するユーザーが、インターネットを介して安全に共同プロジェクトを進められるようにするもの。この製品はピアツーピア(PtoP)の設計を採用しており、各ユーザーのPCが直接他のユーザーのPCと文書をやりとりしたり、インスタントメッセージ(IM)のやりとりを行ったりできようになっている。

というGoogle SpreadSheetのようなオフィスのオンライン版らしきものを作っていた会社だ。この会社を買収するまでは分かる。MS Officeからすれば、邪魔な商品だし、敵の芽を摘むという意味での買収もあり得るからだ。だが、いきなりオッジーはMSのCTOになった。ゲイツはこの時点で、Googleというウェブサービス会社の驚異を感じており、MSもその路線でGoogleと闘わねばならないことを決意したのだろう。

そして、今回のChief Architectというポジションを譲る相手がオッジーであるというのは、実に興味深い。これまでのMSの(クライアントサイドの)ソフトウェアビジネスを仕切ってきた人たちでなく、オッジーしかGoogleに勝てないと分かっているからだ。もちろん、オッジーであってもGoogleに勝てる保証はないのだが。

これで改めて、MSの既存製品はどんどんウェブサービス化していくだろう。Word, Excel, PPTだけでなくWindowsというOS自体もウェブサービスとして利用できる日が近づいたという点で、一ユーザーとして素直に歓迎したい。

理由2:50歳もの若さで事実上の引退を決めた点

彼ほどの成功を収めながら、50歳で自分が手がけてきたビジネスだけでなく、資産までもを手放す決意を出来る人がどれだけいるだろうか。ふと村上さんの「日本はチャレンジャーに優しいですか?」という台詞を思い出してしまったけれど、いつまでも爺さんたちが主役を独占する日本を見ていると、このゲイツの決断は、次のチャレンジャーに活躍の場を提供するぞ、という意志決定にも見えて仕方ない。

4兆円もの資産を、是非社会のために有意義に使って欲しいと思う。