ウェブ人間論

正月に「ウェブ人間論」を改めて読んだ。

ウェブ進化論」が「教科書」だとすれば、「ウェブ人間論」はそれに1対1に対応した「参考書」だと思う。高校生の時、教科書には必ず対になる参考書があって、その参考書には教科書の行間の説明や例題の回答が全てついていましたが、まさにそういう対応関係であるような感じがした。

アナロジーでウェブの世界を理解しようとすると平野さんに、梅田さんが経験値で返すというやりとりが面白いだけでなく、アナロジーで質問する平野さんの方が若いという事実に、ウェブ進化論で断絶された2つの世界が繋がったのだなぁと強く感じた。


本書の背景に貫かれているのは、対談をしている2人の「幸福感」である。ともに知的な世界の第一線で活躍し、知的な世界を誰よりも愛している2人が、知的生活を送るにあたって背後に存在する「幸福感」をぶつけ合っている姿がとても面白かった。ウェブ時代を幸福に生きる生き様というものを梅田さんは間違いなく体現しているし、それが平野さんの鋭い質問によって、一人称、二人称で書かれていることに、ウェブ進化論とは違った意義があるのだと思う。


読者が平野さんに代表される「こちら側」の仕事に従事するのか、あるいは梅田さんに代表される「あちら側」の仕事に従事するのかに関わらず、自分の価値観と2人の幸福感を重ね合わせながら読むべき本である。そして、もし読者がこの2人のような幸福な生き方を望むのであれば、是非本書で書かれていることを実践すべきだと思う。自分自身が読んでいてそう強く感じた一冊であった。

ウェブ人間論 (新潮新書)

ウェブ人間論 (新潮新書)