YahooのGoogleとの提携は最低の経営判断だ、とはっきり断言したい

Yahoo!Googleのオンライン広告を採用へ,非排他的提携で合意
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080613/307973/

Yahoo!は,米国とカナダで展開するWebサイトの一部と検索結果ページに,Googleによる広告を掲載する。提携期間は4年で,その後3年契約を2回更新する。
(中略)
Yahoo!Googleとの提携により,最初の1年で営業キャッシュ・フローが2億5000万ドル〜4億5000万ドル拡大すると見込んでいる。

確かに見た目のキャッシュフローはこれで改善するだろうが、この経営判断は最低だと思った。

理由1:将来の成長機会をみすみす逃した

ヤフーがこれまで得意としてきたディスプレイ型広告はもはや成長率が上がらず、成長率という意味では検索連動広告に頼らざるを得なかった。
そのためのOvertureだし、Panamaだったと思うのだが、この領域で競争することを止めた=将来のポテンシャルを一つ自分の手で消した、と言っても過言ではない。

理由2:社員を完全に裏切った

僕が今回の件を「最低だ」という最大の理由がこれ。
MSがせめて来る前は、経営陣は恐らく社内では「これからはサーチだからサーチを頑張ろう」みたいに言っていたと思う。
実際MSが攻めて来たら、両手を上げて「サーチはGoogleに任せます」と言う。これでは、社員はやってられないだろう。
恐らくOvertureを含め、今回の発表に伴い、サーチをやっている社員のうちできる奴から順番にGoogleに転職し、できない奴だけが残るという最低の結果だけが予想される。


日本企業がよく買収防衛策うんぬんで批判されるが、はっきり言って、今回のこのYahooの経営判断をするくらいなら、ポイズンピルでもかましといた方がよっぽどましだ、と思った。
少なくても、ポイズンピルうんぬんと言っているうちは、現場で真面目に働いている社員には、さほど実害はない。いいか悪いかは別にして、経営陣にも「株主から社員を守る」という明確な言い訳がある。


ただ、今回のYahooの件はどうだろうか。彼らは一体何を守ろうとしているのだろうか。将来のコア事業を捨ててまで、そして社員を裏切ってまで、独立を維持して、守るべきものは何なのか。
MSが嫌われ者なのは理解しているが、これじゃよっぽどYahooの方が悪者だよ、と思った次第。