ネット企業と資本主義の相性が悪い3つの理由

Googleが創業者の2人に特別な議決権を持たせていることや、はてなが今もなおプライベートであり続けていることを真剣に考えてみた。
やっぱり、ネット企業というのは、本質的に資本主義と相性が良くない。その理由↓。

理由1:ネット企業はそもそも資本が小さくていい

特にスタートアップの場合、ある時期までは資本を大きくする必要がない。
チープ革命でサーバーも安くなったし、はっきり言って、普通にやればほとんどが人件費だから、人件費分のキャッシュさえ稼げれば、資本はゼロに近い状態でも成長できる。

理由2:大きいことが素晴らしいとは限らない

ネット業界に限ったことではないが、会社が大きくなると創造的な事業は産まれにくくなる。だが、他の業界に比べて、ネット業界は「スタートアップができること」が大きい。

どういうことかと言うと、例えば、僕が工学部機械学科を主席で卒業しても、僕が自力で商用自動車を作ることは恐らく不可能に近い。バイオや製薬などはできるかもしれないが、ネット業界は大学を卒業したての連中がいきなり起業して、成功できる確立が高い。FacebookだってMSには作れなかった。だから彼らは2兆円もの価値を認めて投資したわけだ。

つまり、ネット業界は他の業界に比べて「大企業じゃないとできないこと」が圧倒的にすくない。

理由3:ネット企業の最大の資産である「人材」は資本ではコントロールできない。

これが最大の理由。
ネット企業の場合、物理的な資産は差別化要因になりにくい。サーバーは全世界で標準化されているので、お金さえ出せば誰でも買える。
ネット企業にとって最大の資産は「人材」。いい人材がいればいいアプリケーションが作れ、それでビジネスが回る。

どんな会社でも、経営の最大の関心事は「如何に資源を効率的に配分するか」だ。物理的な資産が差別化要因になる業界では、資源には物理的な資源が多く含まれるが、ネット業界においては、物理的な資源というのは差別化できないものばかりだから、経営の最大の関心事は「如何にいい人材を集めて、如何に効率的に配分するか」ということになる。

ところが、この問題を解決するに際して、資本というのはほとんど役に立たない。いくら投資家が頑張っても、いい人材は寄ってこないからだ。
「AクラスはAクラスを採用したがる。BクラスはCクラスを採用したがる」理論で明らかなように、いい人材を集めるのに最も重要なのはAクラスの社員だけだ。

つまり、いくら株を買い占めて、資本で制圧しようとしても、制圧から遠のいて行くということが怒りやすいのがネット業界だなぁと思った。


というわけで、何が何でも、急成長して株式公開!みたいな経営がネット業界には適していないかも、と思った次第。