「シリコンバレー精神」(2):「独立とお金」について

昨晩、「シリコンバレー精神」についての感想を書いたのだけど、
http://d.hatena.ne.jp/shibataism/20060813
どうもしっくり来ない。書き終わったときも、1日経って読み返した時も自分でもしっくり来ない。

というのは、きっとこの本の内容があまりに多様で、それを無理矢理まとめて感想にしようと思っていたからなのかもしれない、とふと思った。とは言えこのまま放っておくにはあまりにも惜しい「教材」であることは間違いないので、玉砕覚悟で気付いたテーマごとに感想を書いていこうと思った次第。


昨晩は、「シリコンバレー精神=テクノロジー偏愛主義」だと大雑把に?まとめてしまった。このこと自体を再認識できただけでも嬉しかったのだけど、今日は「独立とお金」の話。「シリコンバレー精神」でも梅田さん自身の起業の話や、「アーリーリタイアメント」という概念が出てきたりと、「独立とお金」の話が度々登場する。


「独立とお金」と言うと、独立して自分の自由を手に入れ、さらに一攫千金を得る、といったようなホリエモンストーリーを思い浮かべる方も多いかもしれない。「アーリーリタイアメント」が出来るだけのお金をなるべく早い時期に手に入れるということは一つの幸せの実現方法なのかもしれないけど、最近の僕にはこの概念はものすごく違和感がある。

ちなみに、はじめに誤解の無いように書いておくと、僕は典型的な中流な家庭で育ち、「一生働かなくても...」というような資産を相続できる可能性はゼロ。だから、お金はあった方が嬉しいし、貧乏はしたくない。「アーリーリタイアメント」ができるだけのお金をもらえるなら、欲しいと言うだろう。でも、「アーリーリタイアメント」のために働くということはしたくない。これが僕が感じた違和感だった。


結局「お金」とは?という話になってしまうのだけど、以前、はてなの近藤さんがテレビで言っていたように「お金は空気みたいなもの」という感覚が一番しっくりくるのかもしれない。もう少しちゃんと考えるには、「自分の貯金」と、「自分がビジネスで動かせるお金」を分けて考えるといいと思う。「独立」ということを考えると、この2つが分けて考えにくくなってしまうのかもしれないけど、この2つはやはり分けて考えるのが良いと思う。ここから先は人によると思うけど、僕の場合、きっと前者はそこそこで良いけど、後者は大きくしたいと思う人間なんだなぁと自己認識した。逆に、前者は大きくしたいけど、後者には全く興味がないという人もいるだろう。

ここでは別にどのタイプが正しくて....みたいな議論は全くするつもりは無いが、皆自分がどういう志向なのかということを知ることには意味があると思う。「35歳までに一生働かなくて良いだけのお金を得るために独立します。」というのと、「他人が作った組織にいては自分がやりたいビジネスを実現して成長させられないから独立します。」というのでは、同じ独立でも全然違った人生になるのだろうなぁと妄想した次第。


シリコンバレー精神」と関係無くなってきてしまったかもしれないけど、ネット業界の若手(ホリエモンよりも下の世代)と言われるような人たちを見ていると、みんな自分個人が裕福になることにはあんまり関心が無いのかなぁとも見えてしまうのも事実なので、こうしたことを考えてみるのもたまには良いかと思いました。